無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
写楽閉じた国の幻 単行本 – 2010/6/1
- 本の長さ684ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2010/6/1
- ISBN-104103252316
- ISBN-13978-4103252313
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2010/6/1)
- 発売日 : 2010/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 684ページ
- ISBN-10 : 4103252316
- ISBN-13 : 978-4103252313
- Amazon 売れ筋ランキング: - 547,971位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 152,194位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
島田 荘司 1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。
1981年に『占星術殺人事件』で衝撃のデビュー。アジアを中心に海外でもその作品は数多く翻訳されベストセラーとなっている。
国内で本格ミステリーの代表的作家であるばかりでなく、アジア各国でも「推理之神(GOD OF MYSTERY)」と尊敬されている。「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や、台湾・皇冠文化出版有限公司が主催する中国語によるミステリー新人賞「島田荘司推理小説賞」の選考委員をつとめるなど、後進の育成にも尽力している。
Soji Shimada
Soji Shimada was born in 1948 in Hiroshima, Japan.
After graduating from Musashino Art University in Tokyo, he makes his sensational debut with ""The Tokyo Zodiac Murders"" in 1981.
He is regarded as one of the leading figures of Logic (Honkaku) Mystery in Japan, and is even revered as the ""God of Mystery"" throughout Asia.
His works have been translated into Chinese, Korean, Thai, French, and English.
Mr.Shimada is also an ardent promoter of blossoming mystery authors, and recently inaugurated ""The City of Roses Fukuyama Mystery Award Competition"" in his hometown and ""The Soji Shimada Logic Mystery Award Competition"" with Taiwan's Crown Publishing Company.
He serves on the selection committee for both competitions.
"
カスタマーレビュー
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
何と言っても心惹かれるのは、通常は島田荘司が仕掛けてくる『謎』を解くことを楽しみとして読む訳だが、この作品は、『わずか10ヶ月間の間、突如として登場し、突如として消える写楽とは何者か』という歴史的謎を島田荘司自身が、解き明かしていく、という点にある。
当然ながら、すでに多くの人がこの謎に挑戦している。そして、最後発である島田荘司は、それまでのそれら謎解きを深く研究し、いつものように全てを貫く太いロジックで帰結させる。本当に唸ってしまう。
読む出す前は、小説ではなく、ただその謎解きをひたすら書き連ねた一冊かと思っていたのだが、ひとつの小説の形を完全に形成しながら、現在と江戸期を行き来しつつ、詳細にその太いロジックに至る経緯をほぼ全て盛り込んだ上で帰結している。もう、唸るしか無い完成度だ。
『謎を解く』ということは、ここまで詳細に時代背景やそこにいた人々を理解し、残された証跡やそこで主張されている事柄を突き詰めていくことなのだ、と感じさせてくれる。
特に書き出した当初は、寛政六(1794)年に、この謎解きの基礎となる事象があったかどうかの確認が成されていなかったことがあとがきにも書かれていて、それに『必ず命中しているという強い確信』があったというのにも驚かされた。
そして、物語の舞台となっている場所が、ぼくが大学生時代に過ごした場所で、出てくる店や場所の名が聞き覚えがあるところばかりだったのも愉しかった。そうか、あそこはそういった場所だったのか、と知る喜びは大きい。
個人的に、この作品は島田荘司の最高傑作だと思う。類無き謎解きの見事さと構築力に圧倒されました。
1、飛ぶ鳥を落とす勢いの千両役者は、そうは言っても、白粉を顔に塗りたくったただのオジさんである。
2、「写楽は歌舞伎への造詣と愛情が深いはずである」という通説は、「世界三大肖像画家」という外国人による賞賛が元になっていて、誰もそれを疑わない。
このような島田氏の視点は、氏が海外に居住していることも少なからず影響してはいないだろうか。
外国の社会に住むことで見えてくる、日本社会が持つ滑稽な一面。
それは特に、権威に対する信心深さや、時として、西洋社会による評価が何の疑問もなく権威になってしまうバカバカしさだったりする。
それを知っているからこその発想のようにも見える。
写楽に対する名声や、歌舞伎に対する威信が、私たちの目を曇らせてはいないか。
私たちの目を曇らせている物事は、身の周りに沢山ある。
それを島田氏は「世の中鋭く見抜いてよ、・・そこから逃げちゃいけねぇんだ。・・自分でそいつを何とかしようと考えるんだ。」と蔦屋重三郎に言わせている。
ひとつ残念なのは、片桐教授が生身の女性に見えてこないことである。
主人公の佐藤にはさんざんな目に会わせているのに。
「フォーチュン・イン フォーチュン・アウト」と書かれた画の謎もあわせて、ぜひ続編に期待したい。
おすすめです。
読んでみました。一番思ったのは「文字で絵を語る」難しさです。
例えば「写楽が描く鼻」はこうだ、「耳の描き方」はこうだという場面で
図版が示されていれば一目瞭然なのに何とも歯がゆい思いをしました。
私は家にある画集をかたわらに「なるほど」と納得できましたが、文中にある
作品等も知らないとピンとこないだろうなと思います。
せめて、この小説の中で重要な作品は巻頭に写真を載せるとかすれば
より多くの、浮世絵に詳しくない人もわかりやすかったと思います。
さらに、作中に出てくる文書の一部もあたかも登場人物と同時に見てるかの
ように載せるとかしても面白い。型破りな写楽を語るなら、型破りな小説に
したっていいと思います。
「現代編」「江戸編」と交互に語られますが、どちらか一方だけでも
良かった気がします。江戸編が唐突に始まった時は面喰いました。
ノンフィクションのような現代編の後に、江戸編が始まると何故か嘘臭い
本当に空想じみた違和感がありました。最初から江戸だけの時代物なら別です。
この構成には難を感じました。読後、回転ドアや離婚危機のエピソードが
必要だったのか?疑問です。
「写楽の正体」問題はすでに明石散人氏・内田千鶴子氏らの発見もあり、阿波藩士斎藤十郎兵衛説がいまや定説となっており、別人説ももはや下火となって久しいという風潮。
そんな中に「写楽別人説」それも「写楽西洋人説」を引っ提げて写楽論争に乗り込んできたというのですから、どれほど見事な論理が堪能できるやらと、大いに期待して読んだ本作でしたが…正直いってがっかりです。昔ながらの話題になったらかまわない式の珍説の域を出るものではございません。まともな歴史の本や浮世絵の本は最初から読まないし、読んだとしてもついていけない、初めから突飛な珍説がお目当てという自覚をお持ちの読者以外にはちょっとオススメできかねる内容です。
おかしな記述は数多いのですが、一つ、大きなモノを挙げておくと、
「ドイツの美術研究家ユリウス・クルトは著書『Sharaku』で、写楽、レンブラント、ベラスケスを並べて世界三大肖像画家に位置付けた」
実はこれ、日本の出版社が写楽の本を売りつけるために流したまったくのデマ。かつては研究者も本気にする方が多かったようですが、『Sharaku』が1994年に邦訳出版されたことで、そんな記述はないことがバレています。この著者、本当に先行研究をきちんと調べた上で書いていらっしゃるのでしょうか。それとも素人読者はどうせ知らないからいいやという判断なのでしょうか。
著者はいかにも写楽については調べ尽くしたといわんばかりに、学者は写楽の威光に目がくらんで嘘ばかりをいっているとこきおろしているんですが、何せ自分が同じことをやってしまっているんですから、まさに「お前がいうな」というものです。ブーメランが戻ってきてぐさー。学者を批判するのでしたら、その前に御自身が襟を正して、疑いの余地のないデマを排除するべきではないでしょうか。
自分の説に説得力を持たせるために学者を攻撃するのは、この手の本では昔からよくやっている手口。梅原猛や五島勉、同業者では井沢元彦や高木彬光なんかもさんざんやっていましたねえ…
気になったものをもう一つ。
外国人(仮)「浮世絵なんてポルノグラフティ」
日本人「写楽は春画を描いていませんよ」
ポルノグラフティ(春画)に芸術性を認めることでしたら外国の方がずっと進んでいるのはわりと常識でしょう? 春画を描いていないから写楽はえらいという発想自体が、著者が批判しているはずの日本人の発想そのもののように思えます。
「Fortuin in,Duivel buiten」の大首絵をはじめ、投げっぱなしの設定が多過ぎるのも興ざめ。
本書を読んで感心なされる方も多いようですが、それは初めから結論を成立させるように都合の悪い事柄を伏せてしまったり、事実関係を改変してしまったりしたら、どんな結論でも成立するように見えるでしょう。そうした方々は感心なさる前に、多少なりともちゃんとした歴史や浮世絵の本をお読みになって、おかしな情報を修正なさることをオススメします。
江戸編は楽しめたので星は一つおまけ。といおうか、現代編はやめにしてずっと江戸編の内容で、時代小説として書いた方がよかったのでは?
それだけ歴史ミステリーとして魅力的なわけで、島田荘司が取り上げれば面白くならぬわけがない… との期待は裏切られませんでした。
提示された大きな謎に小さなヒントが散りばめられていき、時に巧みなミスリードも。「次は一体どうなる?」という興味が途切れることなく、700ページ弱の大作を一気に読ませます。
現代篇に、蔦屋重三郎等が登場する江戸篇を絡めたサンドイッチ状の構成も、生き生きとした台詞回しと相まって効果を発揮しており、私はこの「島田説」にすっかり納得してしまいました。
学術的なフォローと、続編に期待したいところです。
写楽にも北斎にも歌麿にもたいして興味はなかったんですが、
この分厚い本を数時間で一気に読ませてくれる先生の筆力は
さすがです。
写楽にこんな謎があったことすら知らなかったので、謎があると
知れただけでも一つ賢くなれました。
…が、いかんせん、あまりにも悲劇的な主人公の物語と、
写楽の謎解きの展開が、もう一つうまく絡んでいるとはいいがたい
のが気になります。
主人公の物語がどうなったのか気になりながらいつのまにか
写楽の謎解きへ引き込まれ、ふいに現実に戻って、え、あ、そういえば
そっちどうなったの、と思わされたのもつかの間、また再び江戸の
世界へ引きずり戻される、といった感じで、その違和感は最後まで
解消されることなく、先生ご自身が続編の存在をおっしゃられている。
これは、小説の構成としてはどうなんでしょう…
色々と大人の事情もあるのでしょうが、やはり読者としては、
最高の形に練り上げられた島田ワールドを見てみたかったので
そこだけが残念でした。
とりあえず今は続編が楽しみです。
しかし、要の部分は全体の1/5ページに満たないのではないか?とも思われ、ページをパラパラ進めて、「おっと、ここだ」という風に、言わば「参考書読み」の本でした。
それにしても、江戸編の登場人物の躍動感に比べ、現代編の登場人物については、寸劇の台本を読まされているような感じでした。